それはそれはの二
「今日は早かったのね」
「うん、仕事、一段落ついたから」
「これからは早く帰られるう?」
「当分いいだろう」
あたしはよほどパソコンのことを話そうと思ったけど、言わないことにした。もし言えばあまりにも子供じみていると思われるし、もともとがお遊びなんだし、家全体の問題でもないし、夫の折角の一息の気分を壊したくなかったからだ。
何でも夫に甘えるというのは慎まねばならない。この問題は自分で解決するのが常識というものじゃない?
私は心の中でそう決意した。すると何だか気が楽になったようだった。
「お風呂、先にする?」
「後でいいよ」
そう言って自分の書斎に入っていった。いつものことだけど、その間にあたしはダイニングキッチンに用意されているサーモンステーキを中心にした何種類かの料理を点検した。
美味しそう。これで夫が元気に働いてくれると思うと、自分が日頃何気なくやっている家事仕事の重要性を改めて思い直した。
彼の健康のことについてもネットとかなんかで調べているけど、年頃だからちょっぴり不安がよぎった。
「何飲む」
少しのアルコールはかえってHDLコレステロールを上げるのでγGPTが上がらない限り動脈硬化の予防になると言うことも知っている。
「やっぱりビールだな」
あたしは白ワインがいいと思っていたけど、彼は「やっぱり」と考えてビールを注文した。
一口飲み干してから、
「このサーモン美味しそうだな。下手な料理店なんかよりおまえの料理の方が上等だ」
そういいながら、フォークとナイフを手にした。
「お気に召しましたかしら?」
私は少しおどけて、下の方から彼の顔を見た。少し浅黒く引き締まった彼はとても素敵!
あたしはもう二十年も一緒に生活している夫を惚れ惚れと見直した。
アラ!オノロケカイチャッタア~。
この文未だ続く
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