悪い兆し?
「なんだよお~、朝早々」
「紫陽花がぜ~ぶ、絞め殺されちゃう」
「何イ?……」
朝食を済ませて新聞を読んでいる夫に、今、キッチンの片付けを終わって庭に出て、一回りしてから、居間に立ち戻り、夫に訴えた。
私は、この梅雨の晴れ間に、庭の草取りから細かいところを手入れすることが習慣になっていて、今朝もいつもの通り見て歩いて紫陽花の株叢に立ち寄ったところで、この異状を見つけた。
何と憎らしい。……全く素知らぬふりして誰にも分からないように、何でもない紫陽花の茎の一部のような顔をして、そっと花房に巻き付いているのだ。巻き付いているところだけ取ったんじゃあ又伸びてくるから根っこの所まで辿らねばならない。それはなかなか大変な仕事。何とか髪を乱しながらもそいつの根っこまで引き抜き、やれやれと思ってもう一度見回すと、殆どの花房が首に巻きつけられている。わたしは呆然となった。
これは何か悪い兆しではないか。可憐な花房の首が絞められている。
具体的、科学的、論理的、何でもそのように物事を見つめ考えている私としたことが、何としたことか。これはどうしたことか?……でも、恐ろしい。あら恐ろしい。
「早くってばあ!……」
私は、ヒステリックに叫んだ。
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